三重県議会は11日、総務地域連携交通、医療保健子ども福祉病院、防災県土整備企業の各常任委員会を開いた。医療保健子ども福祉病院常任委は、多度大社(桑名市)の上げ馬神事(県無形民俗文化財)での動物虐待を繰り返さないよう求める請願を「不採択とすべき」とした。馬が乗り越える壁をなくすなど、主催者側の改善策を踏まえた判断。22日の本会議で採決される。
<医療保健子ども福祉病院=川口円委員長(8人)>
上げ馬神事での動物虐待根絶を求める請願は、川口委員長を除く7人の委員で採決。新政みえと自民党の6人が請願に反対し、吉田紋華委員(共産党、1期、津市選出)が賛成した。
請願は、動物愛護の活動をする人でつくる「多度大社の上げ馬廃止を求めるOneTeam」が昨年9月に提出。馬に坂や壁を駆け上がらせる行為の危険性を訴え、見直しを求めている。
これに対し、昨年12月の同常任委と県議会本会議は「多度大社側が示す予定の改善策を踏まえて改めて採決すべき」などとして、請願の採決を見送っていた。
常任委では、委員から「主催者側が改善に向けて動いている」などとして、請願に反対する声が相次いだ。一方、吉田委員は「動物虐待をなくす姿勢を明確に示す必要がある」と訴えた。
既存の交通インフラ、最大限に活用と追記 リニア戦略最終案
<総務地域連携交通=喜田健児委員長(8人)>
地域連携・交通部は、リニア中央新幹線の開業を見据えた地域づくりの方向性をまとめた「県リニア基本戦略(仮称)」の最終案を報告した。本年度中にも完成させる方針。
県によると、基本戦略はリニアの開業による効果を最大化に発揮させることなどを目的に策定。最終案は、県幹部でつくる「リニア推進本部」が先月27日の会合で取りまとめた。
最終案はパブリックコメント(意見公募)などを踏まえ、既存の交通インフラを最大限に活用すると追記。災害リスクへの懸念があるとし、JR東海に必要な対策を求めることも記した。
来年度は市町や経済界などでつくる検討委員会を設置し、具体的な計画をまとめた「みえリニア戦略プラン(仮称)」の策定に着手する。駅位置や概略ルートを踏まえて完成させる。
企業庁、変動型価格導入は「慎重期す」 くじ落札多発対策で
<防災県土整備企業=石垣智矢委員長(7人)>
企業庁は、本年度の包括外部監査結果に対する対応を報告。くじによる落札を減らす手法として提案した「変動型最低制限価格制度」の試行に、企業庁は「慎重を期す」と説明した。
包括外部監査結果は、神谷研税理士が先月1日付で県に提出した。法令や条例、規則などに反した「指摘」は8件、正確性や有効性などの観点で課題がある「意見」は15件に上った。
企業庁発注工事でくじによる落札者決定が多発しているとの「意見」に対し、企業庁は「抑制の方策として、予定価格の事後公表や総合評価方式の対象拡大などを検討する」と説明した。
一方、監査結果が提案していた「変動型最低制限価格制度」の試行について、企業庁は「(適正な施工が見込まれない)ダンピング受注の防止に十分機能しないと想定される」などと返答した。