2024年3月8日(金)

▼県内の指定避難所1504施設のうち304施設が土砂災害警戒区域内にあるとして田中祐治県議から見解を問われた県当局の答弁が、なかなか振るっている。「同区域外の施設が限られているなど、避難所の確保に課題がある」。仕方ないんですよ、ということか

▼平成25年の改正災害対策基本法で市区町村に指定が義務づけられた。県には直接関わりのないことなんですよと、のど元まで出かかっていたか。そうも言えないから、見直しや地区を越えた避難の検討などを「助言する」。成果がいつになることか。「そこまでは」と言うかもしれない

▼「地震との複合災害を考慮した避難所の開設基準がない状況もある」という答弁も県らしい。切迫した危険から逃れるための「指定緊急避難場所」と、一定期間避難する「指定避難所」との制度上の違いが、まさに災害種別に基準を定めているかどうかであることを承知の上で「助言をしなかった」ことの理由にしているのかもしれない

▼平成23年の東日本大震災で避難場所が分からず住民が混乱したことを踏まえて改正基本法が制定されたことはむろん承知に違いない。令和2年の、熊本県の球磨川氾濫で多くの指定避難所が浸水したことも

▼県内の豪雨災害で「安全性への心配から、避難をためらう住民もいると思う」という田中県議の懸念はそのためだろうが、県の答弁からは、そんな住民がでることを心配してこの13年間、何か対策を講じたような形跡は感じられなかった

▼東日本大震災の風化は案外早いのか。