▼「僕が風邪をひいたら、あやちゃん看病に来てね」と津田健児県議(自民党)。言われた吉田紋華県議(共産党)が「2万円もらったら行きますよ」と応じ、津田県議が「それなら看護師の格好をしてきてもらおうかな」とたたみかけた
▼県議会議事堂でのこと。日本的な、あまりに日本的なやりとりで、その場の雰囲気、2人の表情まで浮かんでくるが、吉田県議はその後、議会事務局の女性職員に相談し、セクハラスを受けたと記者会見に臨んだ
▼その場を取り繕おうとして受け流してはいけなかったとして「気持ち悪いことを言われ、会議に集中できなかった」。「ちゃん付け」も「嫌だった」。津田県議は謝罪した上で「距離の縮め方は難しい」
▼これも、典型的な日本的行き違いと言えようか。いつぞやセクハラ発言で財務事務次官が辞職した事件で、告発した女性記者に対しても、その程度は乗り越えてきたという先輩女性記者からの声が少なくなかった。男性社会に参入する過程で女性はそうした屈折した対応が求められ、女性も男性も、その対応が当然と勘違いしてしまう
▼昔、新聞の勧誘で見知らぬ地域を終日歩いたことがある。2件契約できれば大成功だったが、いつも4、5件契約する同僚がいた。見ていると下ネタの使い方が実にうまい。主婦が相手だが、笑いとともに、一気に距離を縮めてしまう
▼下品に流れて真似できなかった。津田県議の“距離うんぬん”に昔の自分を思い出したが、あんなセールストークも、今は変わってきているに違いない。