昨年5月、三重県津市の自宅で三女のほのかさん=当時(4つ)=に暴行を加え死亡させたとして傷害致死罪に問われた松阪市飯南町、工員中林りゑ子被告(43)の裁判員裁判が26日、津地裁(西前征志裁判長)であり、検察側は「常習的に暴行や虐待をする中での悪質な犯行」として、懲役8年を求刑した。判決は来月8日に言い渡される。
検察側は論告で「三女は栄養が足りず、異常体重。体にあかがたまるなど、ネグレクト(育児放棄)を受けていた」と指摘。事件前から常習的な暴行や虐待が続いていたと主張した。
その上で、三女だけを1人で家に残すなど「2人の姉と比べ劣悪な扱いをしていた」と強調。「親として守る役割があるにも関わらず犯行に及び、与えた苦痛や疎外感は計り知れない」と述べた。
また「発達障害があると思い込んだ一方で、適切な検査を受けさせず、両親や児童相談所にも相談しなかった」とし「身勝手な行動で、犯行動機にも酌むべき点はない」と指摘した。
弁護側は最終弁論で「三女の発達に遅れを感じ、自分の子として育てるという使命感を持っていた」と説明。「子育ての悩みなどから感情が爆発した発作的、突発的な行為だった」と話し、懲役4年が相当と主張した。
中林被告は「自分のことしか考えておらず、ほのかと向き合うことから逃げていた。支えてくれた人を裏切り、迷惑をかけてしまって、本当に申し訳ございません」と涙声で語った。
起訴状などによると、中林被告は昨年5月、当時住んでいた津市の自宅で三女が乗った布団を引っ張り上げて転倒させた。翌日には背中を右手で殴り、乗っていた高さ約30センチの机から転落させ、死亡させたとされる。