▼児童虐待死や児童重篤事件が相次いだ教訓を踏まえて児童相談所の司令塔として平成17年に設置した児童相談センターが昨年の三重県津市での女児虐待死事件を受けて約20年ぶりに廃止になる。20年という歳月は、一つの組織として長かったか、短かったか
▼もともと性格のはっきりしない組織だったが、福祉分野には明確に分けられなかったり、重なり合う仕事は少なくない。児童相談センターも部長級がセンター長となり、子ども・福祉部長の職掌を軽減することで効果を上げた。懸案とされていた職員の資質向上に努力したが、長くは続かなかったとみられる
▼特にA1(人工知能)導入後は他力本願の傾向を強めたのではないか。組織は3年、5年単位で見直しをしなければマンネリに陥ってしまう。今度は、児童相談所に16人を増員。中勢、北勢両児相にはそれぞれ新たに副所長を配置し、子ども・福祉部に新たに「児童虐待対策総括監」を置いて、次長級を3人体制とする
▼船頭多くして、となるかならぬかは、個々のスキルによる。児童虐待死亡事例等検証委員会の報告があがる前に体制が固まるのは心配だし、A1の扱いにも見切りが必要な気がするが、今後の検討になるのだろうか。市町、教育委員会、警察との連携も、さらに風通しをよくしなければ、県だけのマンパワーでは限界があろう
▼児童養護施設を運営する社会福祉法人に子どもの安全確認を委託するという。任せきりは不安だができるだけ多くの人が関わる工夫をするのが20年前からの鉄則である。