【桑名】三重県の桑名市は2日、新年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度比17・6%増の639億4975万円で過去最大規模。防災力強化、人口減少対策、保育現場の充実、小中一貫校整備などに重点配分した。20日開会の市議会定例会に上程する。
記者会見した伊藤徳宇市長は同予算案を「新時代への扉を拓く挑戦予算」と命名した。
過去最大の規模となった要因として、市は、小中一貫校建設工事本格化、最終年度を迎える消防庁舎再編整備などにより投資的経費が前年比117・3%増の123億円となったこと、人口減少対策、保育現場充実パッケージなど重点事業の増額、定年延長に伴う退職金支払、給与改定など社会保障関係経費の増額などを挙げた。
歳入は、定額減税により個人市民税が減収となったが、法人市民税と固定資産税はおおむね堅調に推移し、歳入全体の34・4%を占める市税は同比1・2%減の220億円を計上。地方特例交付金は定額減税分の国からの補填(ほてん)を見込み、8億6700万円を計上した。
歳出は、総合計画に掲げる3本柱の推進として、消防庁舎再編、木造住宅耐震など「防災力強化」に18億1700万円▽窓口業務最適化事業など「スマート自治体への転換」に4億1100万円▽スマートインターチェンジ推進、桑名北部東員線など「確固たる財政基盤確立」に3億3700万円―を計上したほか、2年目となる人口減少対策に前年度比約3億4千万円増の16億8300万円▽保育現場充実パッケージに1億6600万円―を計上した。
伊藤市長は会見で、「保育以外の現場も大変なことは承知しており、それぞれ対策していくが、昨年まさに市内で不適切保育の事案が起こってしまったことで、どうしたら改善できるのか考えてきた一年だった。保育現場がしっかりしていないと桑名が選ばれないし、お母さんも安心して働けない。人口が減少しても対応できない」とし、「いま一番力を入れなきゃいけないのはここで、今回ようやくパッケージを作ることができたので、課題を少しでも解消し、より良い保育現場を作っていく」と強調した。
さらに「PX(パブリック・トランスフォーメーション、行政変革)に取り組み、目の前の課題に対する迅速な対応と将来に向けて積極的に種をまく投資の両輪をしっかり回していく。将来の投資の部分で事業が集中しているため金額が大きくなったが、対応できる財政になっていると思う」と語った。