国スポ誘致、市町長の意見開示 審査請求受け三重県が方針転換

【県が開示した文書】

三重県が令和17年の県内開催を目指す国民スポーツ大会に対する市町長の意見を非開示にした問題で、県が当初の方針を転換して意見を開示したことが30日、分かった。県議から全面開示を求める審査請求があったことなどを受けて開示を決めた。一方で「伝聞に基づく発言や確定していない情報があった」などとして、意見の一部は現在も開示していない。

県によると、開示は29日付。「当然やっていくものと思う」(末松則子鈴鹿市長)や「是非やりましょう」(森智広四日市市長)などと、国体の17年開催に積極的な意見が目立つ。

一方、前葉泰幸津市長は「延期検討の際は開催推進派だったが、現時点では終わった感もある」と指摘。水谷俊郎東員町長は「何のために三重で開くのかを議論すべき」と主張したという。

この文書は稲森稔尚県議(草の根運動いが、3期、伊賀市選出)が昨年11月に開示を請求。県は「自由な発言が滞る恐れがある」などとして、市町長の意見を全て黒塗りにして開示した。

この決定を不服とし、稲森議員は先月14日付で情報公開条例に基づく審査を請求。県の対応について「勝手な都合による線引き。情報は広く県民に共有されるべき」などと訴えていた。

県スポーツ推進局は稲森議員から審査請求があったことなどを踏まえて再検討した結果、意見の開示を決めたという。開示に当たっては市町長に意向を確認し、了承を得たとしている。

一方、鈴鹿市や伊勢市など、7市町長の意見の一部は引き続き黒塗り。同局は「他の自治体に関する伝聞や推測に基づく発言があった。発言と記述の内容が異なる部分もある」などとしている。

稲森議員は取材に「一部非開示は県に都合の悪い情報を隠すためだとしか考えられない。県民の知る権利は侵害されたままだ」と主張。全面開示を求めて審査請求を続ける考えを示した。

このほか、一見勝之知事は30日の定例記者会見で、全ての意見を黒塗りにした際、担当者から相談がなかったと説明。今後は事前に相談を受ける方向で調整していることを明らかにした。