【津】三重県内に衣料品店「わたせい」を展開する「綿清商店」(曽我江里子社長)は、18日の新聞に防災への備えを啓発するチラシ「今こそ考える我が家の防災」を折り込む。商品宣伝を一切載せず、能登半島大地震の被災者の助言を盛り込み「災害を自分ごととして考えるきっかけに」と話す。
同社は津を中心に松阪▽志摩▽亀山▽伊賀▽鈴鹿―の6市に9店舗を展開。各店周辺の計約16万戸に週1回、さまざまな商品を紹介する2色刷りのチラシを38年手書き原稿で作成している。
今回の震災をきっかけに曽我社長(52)が「地域でお世話になっている人を守るために何かをしたい。今が考えるチャンス」と提案しメッセージ広告を企画。プレスの松永香織さん(48)と渡邊夏帆さん(24)が知恵を絞った。
作成にあたり石川県珠洲市で被災し松阪市の親戚宅に避難している女性(85)を訪ね、聞き取った助言を「どうしても伝えたい三つのこと」として①人を待たずに逃げる②寝ている横に靴と靴下を必ず置く③避難経路を家族で確認―と掲載。ほかに、身近な家族らの電話番号を書けるメモを準備しておくことや非常用持ち出し袋を車に入れておく提案などイラスト入りで掲載している。
折り込みチラシの掲載品は売り上げに直結するため商品を載せないチラシは「正直厳しい」というが、同社にはコロナ禍に手作りマスクの型紙だけをチラシに載せ、多くの人から感謝された経験がある。
今回のチラシは同店のSNS(交流サイト)でも発信する予定で、2人は「このチラシを居間のテーブルに載せ家族で話し合って」と呼びかけている。