【津】三重県津市一志町のボランティアガイド団体「一志町歴史語り部の会」(海野幸子会長)は14日、同町の一志農村環境改善センターで講演会を開催した。同町大仰出身で天台真盛(しんせい)宗開祖の真盛上人(しんせいしょうにん)の生涯について、県総合博物館学芸員の太田光俊氏(45)が話し、市内外の約200人が聴講した。
太田氏は「円戒国師画伝」の絵をひもときながら解説。18歳で比叡山に上るきっかけが神宮参拝でのお告げや度会郡(現在の伊勢市)の人物の仲介だとする伝承について「伊勢神宮の御師は全国に顔がきいた。当時の神宮と仏教も関わりがある」と指摘した。
40代で天台真盛宗を興し53歳で亡くなるまでの約10年について「公家や武家など上層階級に受け入れられ、当時の日記に多数出てくることが非常に重要」と述べ「中世仏教を天台宗と真言宗を中心に見ると天台真盛宗は改革派だった」と位置づけた。
講演会は同団体の設立20周年を記念し開催。海野会長はあいさつの中で「私たちが語り部として案内できるのは先人のたゆみない努力と営みのたまもの。歴史的文化的遺産を今後も記録し伝え残していく」と述べた。