▼県が予算の協議や経済センサスに関する決裁文書など11冊の公文書を紛失した。誤って廃棄した可能性が高いと説明している。相変わらず、根拠に乏しい。今年も文書管理ミスは収まる気配はなさそうだ
▼統計課が経済センサス調査の書類紛失に気づいて法務・文書課に連絡したのが先月下旬。全庁に公文書の確認を依頼したら、他の紛失も発覚した。ザルで水をくんでいる心地がする
▼遊漁船業者が乗客賠償責任保険の契約更新を届け出た書類を紛失したのが昨年11月。障害者虐待の報告書紛失が同10月。コロナ関連補助金の公文書紛失が同9月。内部文書などもいくつか紛失している。県は、全庁に確認の依頼はしていなかったのだろうか
▼いずれも、原因は「誤って廃棄した可能性」としているが、理由について「持ち出された形跡がない」などをあげている。確認を求められて発覚した紛失に、持ち出されたかどうかが分かるものだろうか。「個人情報の流出はない」という断定や、業務に支障がないという説明も怪しく思える
▼それまで年度単位だった公文書の誤廃棄や紛失の公表を「速やかに」と改めた指針を策定したのは昨年3月だが、10月の障害者虐待の報告書は紛失が発見から知事への報告まで一カ月かかった。担当課長は「探すのに時間がかかっていた」と謝罪した
▼不明な段階でも報告するようにと庁議で義務付けたのは翌10月で、今回は一カ月弱だったが、かねて誤廃棄を公務員の自覚の問題と強調する知事が海外出張中の発表だった。鬼の居ぬ間か、知事へのそんたくか。モグラたたきの感がある。