【津】三重県津市久居二ノ町の久居八幡宮(山中理宮司)が、コロナ禍で使用を中止していた境内の手水舎を4年ぶりの再開に合わせて改修した。歴史ある石の手水鉢(てみずばち)を復活させ竜の吐水口(とすいこう)を新調。時代をつなぐ手水舎で年越しや初詣の参拝客を出迎える。
手水舎は参拝の前に手を清める場所で同宮では境内中ほどの西側にある。令和2年春から感染防止対策で中止していた間に吐水口の劣化などが見られたため10月下旬から約1カ月半かけ改修した。
改修にあたり、かつて使われその後境内に置かれていた石の手水鉢を復活。手水鉢は正面に「奉寄進 御神前 久居 町中」とあり、鉢のへりには信仰の跡とされる盃状穴(はいじょうけつ)が複数ある。権禰宜(ごんねぎ)の山中フローリアンさん(36)は「安永8年に手水鉢に屋根を付けた記録がある。銘はないが久居の町方の人らが奉納したもので江戸時代のもので間違いないのでは」と推察する。
吐水口には新たに銅製の竜を付け、屋根部分は四隅にあった菊水の飾り瓦を修復して設置しており、山中さんは「さまざまな時代が込められた手水舎に神社の歴史が感じ取れる。使い続ける価値のあるものを大切に残していきたい」と話している。