2023年12月18日(月)

▼少子化や人口減少時代を背景に時代は副業解禁の方向に動いている。県が民間との兼務の職員を募集しているのも、その表れだろうが、四日市市の上下水道局に勤務する30代の女性職員は名古屋市内の性風俗店2店舗に勤務していて停職6カ月の懲戒処分を受け、依願退職した

▼国家公務員法は同法第103条で、地方公務員は、地方公務員法第38条で、兼職、副業が厳しく禁止されていることはよく知られる。四日市市職員は「軽い気持ちで」始めたと聞き取りに応えているというから恐れ入るが、動機については「生活費の一部として収入を得るためだった」という。県では人事委勧告で昇給されたばかり。民間にすればうらやましい話だが、同レベルとされる四日市の場合はまた違うのだろうか

▼「軽い気持ち」という心境がどんなものかははたからうかがいようがないが、東日本大震災後の現地調査に入った湯澤直美立教大教授によると、明日からの生活の見通しが立たず、複数の主婦から「風俗に入るしかない」「風俗だけはしたくない」などの声を聞いたという

▼中心街の駅頭では風俗店の募集チラシを大量に受け取ったし、テレビでお笑い芸人が、こうした大災害があると風俗業界でも新陳代謝が進み、楽しみだみたいなことを言ってひんしゅくを買っていた。困窮した女性にとって風俗はすぐ頭に浮かぶ業界なのだろう

▼兼業禁止や副業が緩和されたとしても風俗が認められることは当面なさそうだが、日本は職業間移動が簡単な社会ではない。風俗だけ駄目という理屈は考えておかなければなるまい。