▼国民スポーツ大会を令和17年に開くと一見勝之知事が方針を固めたことに対し、伊賀市の岡本市長が「県民に意義やメリットを説明しないまま決めたら、納得されないのでは」と懸念を表明した
▼だから、県民の大方が理解不明なのに直前で三重とこわか国体・とこわか大会(全国障害者スポーツ大会)を中止にしてしまえるのだと言っているようにも聞こえる。実際、とこわか国体・大会の中止は、事前の十分な説明もなく、唐突だった
▼新型コロナの拡大で中止の可能性は以前から指摘されていたが、当時の鈴木英敬知事はそのたびに強く一蹴していた。前年の鹿児島県が見送った時も、県の開催に影響するのを何よりも心配しているかに見えた
▼会場を屋内に移したり、無観客にするなどのアイデアで突っ走っていたが、その姿勢は開催年の令和3年に暗転する。8月、コロナ急拡大を理由に緊急事態宣言の発令を国に要請する一方で、文科省、日本スポーツ協会などへ中止を申し入れ、同26日に早々承認。9月に知事を辞職し、10月の総選挙で初当選した。鈴木氏の長い2カ月間である
▼混乱は12月まで続き、競技団体からは「結論ありき」の声が相次いだ。“出来レース”と多くが見たのだろう。10月に登場した一見勝之知事への「一任」を取り付けて強引に幕引きしたが、“出来レース”とすると、どこまでがか
▼県と市の間にはさまざまな取り決めが存在しよう。伊賀市長の指摘の性質は不明だが、知事は開催への意気込みを「二巡目を開かなかった県だと言われるのは耐えがたい」。選手ファーストというより、為政者としての体面の問題?