▼贈収賄事件とは何か。7月に津地裁が下した有罪判決によると、名張市で発注工事などの見積もり業者を選定する立場の職員が、随意契約などで特定業者に便宜を図り、見返りとしてゴルフクラブを贈られたり、現金を受け取ったりした。発注に職務権限がある職員が権限を使って業者に便宜を図り、金品を受けた典型的贈収賄事件の構図だ
▼15日に県OBと現役を収賄側、土木工事会社社長を贈賄側として逮捕された県企業庁の場合は、収賄側の2人とも問題の入札で業者の選定などには関与しない立場。入札金額と、技術力提示で構成する総合評価方式のうち、技術力の提示に助言したに過ぎない。見返りの金品は“約束段階”で受け取ったかどうかは、容疑者らの諾否を含め警察からの発表はない
▼県庁内は「捕まった職員は、どんな人なんやろ」「今ごろ企業庁は大変やろな」など、どこか他人事。平然とした様子も感じられ、技術職のほとんどが思い当たるふしにピリピリした過去の贈収賄事件とは様変わりしている
▼総務部はもっぱら情報収集に明け暮れ「事件のことが何も分からない。事実関係を確認しないと」。再発防止策も手につかない。何が問題かが分からないのだろう
▼技術力提示も評価もケースバイケースというのは一般的理解だが、実は必須アイテムでもあるか。昔、業者に頼まれ総合評価方式の説明を聞きに県の担当部署を訪ねたことがある
▼旧知の職員が説明してくれたが、具体的ポイントは何も話してくれなかったと業者が嘆いていた。2容疑者はそんな“虎の尾”を踏んだのかもしれぬ。