いじめ確認できず 高2男子自殺で三重県対策審が報告書

【審議会後に記者会見する尾高前会長(左)と伊藤会長=県庁で】

三重県いじめ対策審議会(伊藤仁会長、5人)は9日、いじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」として審議していた2件の調査報告書をまとめた。県立高2年の男子生徒=当時(17)=が自殺した問題は「いじめを見つけられなかった」などと結論づけた。別の県立高で男子生徒が学校を休みがちになった問題では、同じ運動部に所属する上級生からの行為をいじめと認定した。

審議会によると、報告書は男子生徒が自殺した問題について「いじめ、または自死につながる事実を見つけられなかった。学校現場では、自死に至る兆候が見当たらなかった」などと結論づけたという。

事案を調査した尾高健太郎前会長は審議会後の記者会見で「遺族や周囲の生徒らに対する聞き取りなど、できる限りのことはした」としつつ、聞き取りの要請に応じなかった関係者がいたと明らかにした。

男子生徒は昨年2月22日に自殺した。遺族から「他の生徒による発言で男子生徒が傷ついたのでは」との申し出を受けた学校側が重大事態と認定。審議会が昨年10月からいじめの有無を調べていた。

また、別の県立高で男子生徒が学校を休みがちになった問題では、被害の訴えがあった5件のうち1件をいじめと認定。昨年4月、昼食中の男子生徒が座っていたマットを上級生が無言で奪ったという。

一方、男子生徒がいじめを受ける以前から心身の治療を受けていたことや、いじめと欠席の時期が離れていることを踏まえ、審議会は「いじめと欠席の因果関係は認められない」と結論づけたという。

この問題は昨年4月、運動部で「上級生による行為で嫌な思いをしている生徒がいるのでは」との相談が顧問に寄せられて発覚。男子生徒は学校を休みがちになるなどし、学校が重大事態と認定した。

県教委は近く、審議会から報告書を受け取った上で生徒や保護者に示す予定。報告書の公開について、県教委は「保護者らの意向や他の生徒に与える影響などを踏まえて検討する」としている。