▼「待ちに待った」と言えば語弊がある。「ようやく」と言っては不謹慎だ。携帯電話にアマゾン名でメールがきた。「有料動画の未納料金が発生しています。本日中にご連絡なき場合、法的手続きに移行します」
▼本紙『まる見えリポート』が先月9日で伝えた内容。ほぼ1カ月遅れなのはスクープ合戦が宿命の仕事柄、遺憾である。携帯ではまず「問題検出」のアナウンスがあり、続いて「送信元に心当たりがない場合注意」。もはやだまされる人はいまいと思ったが、そうではないらしい
▼「キャッシュカード搾取相次ぐ」の見出しで11日付紙面で2件報じられたいたが、続く2件はいずれも有料動画未払い詐欺で、12日付でも1件。被害者は50代、20代の女性と60代の男性。時代を反映させる振り込め詐欺でも、はやり廃れのない題材はあり、有料動画はその一つに違いない
▼県警の調べでは、断トツは有料動画未払いなどの架空請求詐欺だが、続く2番手はオレオレ詐欺。長男の損失をかたられた桑名市の77歳の女性は5月、700万円をだまし取られた。親子の変わらぬ人情をついて、金額も大きい
▼ベストセラー『90歳。何がめでたい』の佐藤愛子さんが、別の本でオレオレ詐欺について書いている。親子の情愛は変わらずとも金があっての被害で、昔はとてもとても。「金で済むことなら」が今の風潮だが、昔はそう思いたくても思えなかったし、金で不祥事を解決するのは「カネモチのボンクラ、ノラ息子」とさげすんだ
▼今は生活弱者への税金注入に厳しい視線が集中。金が敵には違いない。