三重県職員の給与引き上げへ 人事委勧告受け入れ、月内にも補正案提出

三重県は人事委員会勧告を受け入れ、職員の月給とボーナスを引き上げる方針を固めた。約21億円の負担増となる見込み。引き上げに伴う人件費を計上した一般会計補正予算を月内にも提出する。一方、県職員労働組合(県職労)は物価高による通勤費の負担増を懸念し、さらなる待遇改善を訴えるとみられる。

関係者によると、県は人事委が実施した民間の給与に関する調査結果などを踏まえて引き上げを決めた。都心部への流出が懸念されている公務員志願者の確保など、採用の観点も考慮したとみられる。

県は2日、県職労との交渉で勧告を受け入れる方針を伝えた。県幹部は県職労に「人事院勧告の実施が閣議決定されたことなども総合的に勘案し、勧告通りに全て実施する」などと説明したという。

また、人事委が「多様で有為な人材」の確保を目的として県に要請していた若手職員の重点的な引き上げにも、県は応じる意向を伝えた。給料表を改定し、33年ぶりに初任給を1万円以上引き上げる。

県職労は勧告の受け入れを評価しつつ、月給が上がらない高齢層の「モチベーション」が課題だと主張。特急や有料道路利用料の半額を支給する通勤手当の制度にも「負担が大きい」と反発したという。

一方、県はあくまで勧告に基づき月給やボーナスの引き上げにとどめる方針。県幹部は通勤手当の引き上げについて「頂いた(県職労の)意見や他府県の状況を人事委に伝える」と県職労に返答した。

人事委は先月13日、職員の月給とボーナスを引き上げるよう一見勝之知事に勧告していた。月給は平均0・75%(2843円)の引き上げ、ボーナスは年間0・1月分の引き上げを求めていた。

県が月給とボーナスを引き上げるのは2年連続。対象は警察官や教職員を含む2万767人。勧告を適用すれば、月給とボーナスを合わせて1人あたり年間で平均8万8千円の引き上げとなる。