マイナでタクシー運賃助成 大紀町、高齢者らの外出支援

【タクシーに乗りマイナンバーカードを専用の機器にかざす利用者=大紀町で】

【度会郡】移動が困難な高齢者らの日常生活の支援として、三重県の大紀町は17日、マイナンバーカードを活用してタクシー運賃の半額を助成する「Cタク助成事業」を始めた。高齢者らの利便性向上を図り、マイナンバーカードの普及促進にもつなげていく。

【Cタク助成事業の概要を説明する服部町長=大紀町役場で】

町によると、人口減少が進む同町では公共交通機関が衰退し、地域の商店や診療所が閉鎖するなど、自家用車がないと生活が困難な状況だという。

これまでも、無償のコミュニティーバス「Cバス」の運行や、高齢者電動アシスト自転車購入補助金(Cチャリ補助金)の交付を行い、移動困難者への支援に取り組んできたが、多様な移動手段を充実させるため、Cタク助成事業を県内で初めて実施した。総事業費は1362万円。

本人や配偶者が自動車を保有、使用していない70歳以上や一定の障害がある町民が対象で、マイナンバーカードを所有していることが条件となる。タクシー乗車時に利用登録したマイナンバーカードを専用の機器にかざすと、千円を上限に利用料金の半額を助成する(年間24回)。

同町のマイナンバーカード交付率は78・5%、70歳以上の人口は3083人(9月30日現在)。16日までに41人が事業登録を行っている。町は本年度に同事業の実証実験を行い、利用者の移動距離や乗降場所、利用時間帯などのデータを分析し、来年度からの本格運用に向けて利用者の要望も聞きながらきめ細かい支援を目指す。

この日は、利用第一号の高齢女性がタクシーに乗り込み、カードを機器にかざしてから病院へと向かった。服部吉人町長は町役場で事業の概要を説明し、「Cタク、Cバス、Cチャリを交通施策の大きな三つの柱として進めていきたい。一人でも多くの人に活用してもらえれば」と話した。