三重県は16日、北勢児童相談所(四日市市泊村)の男性職員が一時保護中の男子中学生に大声で怒鳴るなどの虐待をしたと発表した。県は心理的虐待、身体的虐待と認定。近く処分を検討する。男性職員は「男子中学生が指示に従わなかったのでヒートアップしてしまった」と話している。
県によると、男性職員は8月12日午後5時20分ごろ、一時保護所の廊下で居室への誘導に従わなかった男子生徒2人のうち1人から腕を捕まれた際、至近距離で「なにつかんどんのや」と大声で怒鳴った。
また、この職員はもう1人の男子中学生に「黙れ。邪魔すんなよ」と大声で怒鳴った。さらに、居室に戻った男子生徒に詰め寄って怒鳴った際、職員と生徒の額が2回当たった。この男子生徒にけがはなかった。
県は翌13日に北勢児相から連絡を受けて事案を把握。男性職員らへの聞き取りや有識者でつくる県社会福祉審議会こども相談支援部会での審議を経て、今月13日付で身体的虐待と心理的虐待と認定した。
職員は県の聞き取りに対し、自らの額が男子生徒の額に当たったことについて「意図的ではなかった」と説明。「感情的になって怖い思いをさせてしまい、申し訳ない」と話している。退職は申し出ていない。
北勢児相は男子生徒や保護者らに謝罪。事案の発生後、この職員を一時保護に関わらない部署に異動させたという。「職員個人が特定される」として、職員の年齢や役職などは明らかにしていない。
県子ども・福祉部の近正樹子ども福祉・虐待対策課長は記者会見で「子どもの安全安心を守る施設でこのような事案が発生したことをおわびする」と陳謝。年内に再発防止策を策定する考えを示した。