2017年11月12日(日)

▼首相なら任命責任が浮上してきかねない。「言い方はちょっといかがなものか」は、それを避けた慎重な言い回しと言えよう。次の瞬間、お友達をかばって墓穴を掘った第一次安倍内閣のスタッフ体験が頭をよぎったか。「意見を反映しないという姿勢があるなら言語道断」

▼越境入学問題での県民の意見公募を廣田恵子教育長が「プロセスの一つ」と述べたことに対しての鈴木英敬知事発言である。国民の意向を尊重するかのような行政手続きが、実は「プロセスの一つ」にすぎないことが多い。官僚出身の知事も先刻承知だろうが、公募結果がまとまるころには越境入学校が決まっているというのはあまりに露骨

▼伊勢自動車道が久居から松阪へ延伸するころ、嬉野地区でほ場整備が進み、ルートを避けたいと県農林水産部が県土木部へ打診したら気にせずにと言われ、完成間もなくど真ん中をルートが通ることになった。住民説明会で地元農家が苦情や修正を求めたが、何の音沙汰もない。要求はどうなったと聞いたら「道路開発に住民説明会は条件だが、結果のフォローは義務づけられていない」

▼開催することが「プロセスの一つ」というわけだ。ばかにするなと地元は硬化。一志嬉野インター設置で折り合いをつけた。県教委の越境入学容認に知事は「学校外の子どもたちの安全確保(の体制不十分)が解消されて安堵(あんど)している」

▼ルール破りの教員が編み出した抜け穴とそっくりな気がするが、もう「ベストではない」とは言わなかった。そんな気配りが台無しになりかねない。知事の心中察するにあまりある。