日本とスリランカの相互理解促進に特に顕著な功績があったなどとして本年度の外務大臣表彰を受けた名城大名誉教授で元鈴鹿大学長補佐のアーナンダ・クマーラ氏の「受賞を祝う会」が8日夜、名古屋市中村区名駅の名鉄グランドホテルで開かれ、鈴鹿大や名城大、NPO関係者ら約80人が参加して喜びを分かち合った。
クマーラ氏は受賞スピーチで、来日して過ごした約40年を振り返り、国連職員を辞して、平成六年に新設された当時無名の鈴鹿国際大(現鈴鹿大)へ開設準備段階から赴任したことを「大きな決断」だったとした。同大で約20年教壇に立つ中で「日本の若者をもっと世界に通用するようにしてあげたい」と、学生に発言させるように訓練してきたと述べた。
当時祖国では家族がテログループの標的になり、親戚が殺害されたことにも触れ、日本にいなければ「生きてなかった確率の方が高い」と語った。
時を経て昨年スリランカに帰国し、現在南アジア初の日系の情報系大学「ランカ・ニッポン・ビズテック・インスティトゥート(LNBTI)」の学長として活動していることについては、能力の高いIT人材が不足する日本に「自信を持って送り込める人材を育てようと努力している。日本に来たらすぐにフルで活躍できる人たちに育て上げたい」「小さな力かもしれないが、いつかは花が咲くのではないか。ぜひ皆さん、つながっていただき、スリランカにいつでも遊びに来てください」と今後の交流を呼びかけた。
来賓の川又俊則鈴鹿大学長は祝辞で、「ぜひLNBTIと本学との交流を進めたい」と述べた。さらに、クマーラ氏が鈴鹿市で産学官交流事業の「セイロン瓜プロジェクト」を陣頭指揮したことなどを紹介。「本学の学生と教職員の距離が近いという関係は、クマーラ先生がつくってくださった。先生のエピソードは尽きることがない。表彰は当然のことと思う。今後も先生と本学はつながっていきたい」と語った。
ほかに名城大外国語学部長や愛知青年海外協力隊を支援する会会長らが登壇し同氏の功績をたたえ、古賀道夫LNBTI会長の音頭で乾杯。学生からの花束贈呈や、唄と三味線の演奏などで受賞を祝った。