
「受章は、祖父の初代瑞山からの技法をかたくなに守り続けてきたおかげです。加賀家として受章できたと感謝しております」と喜びを語る。
父は若くして亡くなったため祖父に師事し、桑名萬古の赤絵や青磁などの技法を学び、昭和59年に3代目瑞山を継承。古萬古の伝統技法を基に創作活動を続け、東京や名古屋などで個展活動をしている。同62年に桑名市指定無形文化財技術保持者、平成13年には三重県指定無形文化財技術保持者に認定された。
文化財保護にも尽力し、平成28年から昨年まで市文化財保護審議会会長を務めた。また、市が開催する桑名萬古の技術を次世代に伝承する「陶芸講座」の講師を、半世紀にわたって務めている。受講申込日は早朝から列ができる人気講座だという。それらの功績が評価され、令和6年に県文化賞文化大賞を受賞した。
母の勧めで、高校時代から茶道、華道、和歌、日本画、書道を習うようになり、現在も研さんを続けている。それらの全てが作陶に生かされているという。
32年前にいなべ市北勢町の高台に鼓窯を築窯し、町中ではできなかったまき窯で焼成するようになった。「職人たれ」という初代の教えに従い、黙々と作業してきたが、近年は茶陶を中心に花器や香炉、陶板など、徐々に自分の好きな仕事ができるようになってきた。
ウグイスの声で目覚め、シカやサルたちが庭に訪れる自然豊かな環境で妻と2人の生活。「作陶活動のほか、山菜採りや庭の手入れ、茶の湯、絵画などを楽しむ充実した毎日です。一日でも長く作陶したいと願っています」と語った。
〈略歴〉昭和59年3代目加賀瑞山襲名。同62年桑名市指定無形文化財技術保持者。平成13年県指定無形文化財技術保持者。同28年―令和6年桑名市文化財保護審議会会長。令和6年県文化賞文化大賞受賞。