【尾鷲】任期満了に伴う三重県の尾鷲市長選(6月1日告示、8日投開票)に立候補を表明している現職の加藤千速氏(76)が21日、市役所で記者会見し、公約を発表した。製材工場誘致など大型事業10項目を示し、「完成をもって自分自身の集大成にしたい」と語った。
加藤氏は3期目の主要政策として、雇用の促進と交流人口の向上▽教育環境の整備と子育て支援▽財政の健全化―など5本柱を掲示。大型事業を割り振ったほか、地域医療体制の確保や地場産業の再生、高齢者の居場所づくりなどを「喫緊の課題」として挙げた。
市の預貯金に当たる財政調整基金は令和5年度末、就任当初(平成30年度末)の3億円から20億円超まで伸長。強化に努めたふるさと納税を原資に「住みたい街に近づけるよう、多くの事業を展開できた」と2期8年の実績を強調した。
計画段階にある大型事業は「1期目にレールを敷いて、2期目に機関車を作ったような状況」と説明。大型事業のうち9項目の計画は進行しているとした上で、残る大型製材工場の誘致は「年度内に基本協定を結び、令和10年度までに稼働させたい」と、次期4年での完成に意欲を示した。
市営ふれあいバスは現在、最大600円の運賃がかかるが、利用者の8割強を占める65歳以上の高齢者に対して「無料パス」を発行することを検討。このほか、年内に購入額の30%を上乗せした地域限定の「プレミアム商品券」を配布することなども盛り込んだ。
加藤氏は同市九鬼町出身。阪急百貨店の役員などを務めた後、平成29年6月の市長選で初当選し、現在2期目。慶応大商学部卒。
市長選にはほかに、同市出身で元県議の津村衛氏(50)=同市泉町=が出馬を表明している。