紀北町出身の平野選手、韓国移籍で活躍 女子バスケ、充実の1年 三重

【現地ファンのプレゼントを手にする平野選手=紀北町で】

【北牟婁郡】三重県紀北町出身の平野実月選手(26)は今年3月までの昨季、韓国女子バスケットボールリーグ(WKBL)に挑戦。日本女子のWリーグ・トヨタ自動車から移籍し、ほぼ全試合に絡んだ1年目を「海外で結果を残し、自信になった」と振り返った。

昨夏に導入初年度のアジアクオーター制(アジア枠)で、WKBL・三星(サムソン)生命にドラフト四巡目で入団。出場機会が限られたWリーグ時代から一転、リーグ戦は中心選手として28試合に出場し、リーグ3位でプレーオフ進出に貢献した。

名門の愛知・桜花学園高出身で、ポイントガード(PG)を主戦場とする。韓国では「多くの試合に関わりたい」と、シューティングガード(SG)でも出場。主力選手の負傷後は先発起用が続き、勝負所での交代要員としても重用された。

身長は166センチと小柄ながら、司令塔として相手の守備を揺さぶる素早いプレーを披露。毎日のヨガで鍛えた体で当たり負けせず、攻撃の起点となった。慣れない環境下でも「スターターとしての責任を忘れず、積極果敢に攻めた」と話す。

現地では3点シュートが課題とされたが、ゲーム終盤での「クラッチショット」で現地ファンの心をつかんだ。特に昨秋のウリ銀行戦では、途中出場から流れを変える1本を決め、チームの勝利に貢献。MVP(優秀選手)の活躍を見せた。

WKBLはタイトな日程で、長距離のバス移動が基本だったという。朝昼夜の「3部練」にも苦労したが、熱狂的な現地ファンの存在が背中を押した。「試合中の声援はもちろん、似顔絵やレゴなど多くの贈り物で勇気づけられた」と語る。

韓国で1年プレーした経験は「プロ選手のすごみを改めて実感できるくらい充実していた」と強調。今季の去就は未定とした上で「日本でも韓国でも昨季の経験が生きるのは間違いない。所属先で自分らしさを出し続けたい」と意気込んだ。
◆経歴◆紀伊長島ミニバスケットボール―朝明中(四日市市)―桜花学園高―愛知学泉大―トヨタ自動車―三星生命