セシウム閉じ込め成功、三重大など、コンクリ内に 原発廃炉に応用期待

【セシウム(Cs)をコンクリート(下)に閉じ込める手法のイメージ(尾崎助教提供)】

三重大(津市)の尾崎仁志助教(材料加工学)らの研究グループが、レーザーを利用してコンクリートをガラス化し、セシウムをコンクリート内に閉じ込めることに成功した。放射性廃棄物の減量が期待でき、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉作業で実用化することを目指している。

研究グループによると、福島第一原発では東日本大震災で炉心溶融(メルトダウン)や水素爆発が発生。放射性物質であるセシウム137が表面に付着したコンクリートが大量に存在し、放射性廃棄物として長期保管が必要なことから、廃炉作業の妨げになっている。

研究では、福島第一原発の原子炉建屋を再現したコンクリートに、セシウム137の同位体で放射能を持たないセシウム133を混合。レーザー光を直径約0・03ミリに絞って照射し、コンクリートをガラス化した。

コンクリートはセシウムを含んだままガラス化され、水に浸してもセシウムがほとんど溶け出さなくなった。ガラス化部分はコンクリートから容易に分離できるため、放射性廃棄物の減量につながるという。

東京電力の子会社で廃炉作業の支援をしている東電設計(東京都江東区)や海洋研究開発機構(神奈川県横須賀市)、帝塚山大(奈良市)などとの研究成果で、2月に国際科学誌に掲載された。

尾崎助教は「セシウムをその場でコンクリートに閉じ込める技術を提案できた。実際に原発のコンクリートやセシウム137でできるかを確認する必要があるが、廃炉作業での実用化を目指していく」と話した。