
【桑名郡】任期満了(5月4日)に伴う三重県の木曽岬町長選は15日、告示され、立候補した2氏が20日の投票に向けて舌戦を繰り広げている。共に無所属の新人で、元町議の三輪一雅(59)=源緑輪中=、元町議の伊藤守(70)=雁ケ地=(届け出順)の2氏について、人となりを紹介する。
◆三輪一雅候補、頼まれた地域の仕事全てやる
16年前、地盤はなく「自分の仲間だけ募って」町議選に出馬。議長も二度務め、議会改革に奔走して来たが「家族サービスが16年間できなかった」。今期限りでの引退を決意していたが、支援者からの「町長に向いている。16年の経験を生かさないと」との後押しを受けて奮起。「自分は元気。これも一つの運命で幸せなこと」と出馬を決めた。
工業高校の機械科を卒業後、3年半の会社勤務を経て、設計士として独立。機械設計の仕事をする中で「人に支えられ、生かされていることを実感し、意識が変わった」。政治への関心も高まり、「自分たちの町は自分たちで作り上げていくのが本来」との考えで「頼まれた地域の仕事は全てやる」ようになった。
「ゼロから」始めた政治活動でも「仲間の団結力は強く、自分たちで積み上げた自信はある。地域の信頼は一定数勝ち得たと思う」と胸を張る。
実業家・五代友厚の「地位か名誉か金か、いや、大切なのは目的だ」という言葉が好きで、新たな挑戦に向けても「目的はただ一つ。町のために仕事をする」と明快。「地位や名誉を守りたいという人が多いが、守ろうとするあまり、目的を成し遂げられなくなってしまう。木曽岬は小さい町で、訴えていけば伝わる。政治資金を頂く必要もない」と語る。
中学時代は野球部で「議員になった頃までは楽しんでいた」。「スキーが好きで毎年行っていたが、2年前からは行けていない」と苦笑い。気晴らしもできないが「車の運転は好き。東京までも行く」。四輪駆動車に40年乗り続けており「災害時に役場に1台あると良いので、町長になっても乗り続ける」。
妻、次女、父らとの五人暮らし。源緑輪中。
◆伊藤守候補、三世代同居を町でも進めたい
「田んぼはまだやっている」と笑う。農家に生まれ、12年前に「ハードルがあった」町議選に出馬。「自分の信念を貫くには議員じゃないかと思った」と振り返る。議員になり、「議会で防犯カメラや自主運行バスの問題をしつこく何度も質問した」が、「大きな意味で町を変えるのは議員では難しい」と痛感。「首長になりたいという意向はあった。昨年秋から煮詰まってきて、しっかりした考えができたので、立候補しようと決意した」と語る。
議員になるまで、町内には7地区のみ回る「青パト(青色回転灯パトロール)」しかなかったため、1期目に町全域を回る「青パト」を立ち上げ、最近も「巡回は12月、1月で35回」と精力的だ。課題は山積しているが「一つずつ小さなことをきっちりやっていかないと大きなことはできない」と語る。
「町内で子どもが今年生まれてくるのが14人と少なすぎる。全国で少ないから仕方ない、ではいけない。力を入れていかないと」と危機感を募らせる。「三世代同居は東北、北陸で多いが、子どもが良いふうに育っているので、町でも進めたい」とし「町内の子どもたちは結婚して町外で住むパターンが多いが、干拓の開発に力を入れ、もう少し収益、雇用が生まれるようにして、アパートも整備したい。食えるようになったら帰ってくると思う」と語る。
以前は「よくプールで泳いでいた」が、最近は手伝いも含めて選挙を「ずっとやっている」ため、「選挙運動以外をしたい」と笑う。議会での一般質問の内容などは全てノートに手書きするが、喫茶店でミルクティーを飲みながら考えをまとめるのが気分転換になる。妻と長女との三人暮らし。雁ケ地。