
菰野の3年生エース栄田人逢(とあ)が、新境地で高校最後の春の県大会に臨む。今年の春先最速144キロを計測した左腕。自他共に認める先発陣の要だが、3月末の地区予選は抑えで活躍した。2年連続の夏の甲子園出場も見据えて「自分で抑えたいという考えは捨てて、全員で勝って行けたらと思います」。
春夏通じて、甲子園初勝利を挙げた昨年8月の全国高校選手権1回戦の南陽工(山口)戦で9安打2失点完投した。先発へのこだわりは強く、10点ビハインドの八回から3番手として登板し、西日本短大付(福岡)に敗れた2回戦直後は「負けたこと以上に自分が投げられないことが悔しくて」人目もはばからず、号泣した。
先発のマウンドを託されるも、聖隷クリストファー(静岡)に1―5で敗れて2季連続の甲子園切符を逃した昨年10月の東海大会が自らを見つめ直すきっかけとなった。3月の対外試合解禁後、春先の故障の影響で思うように投げられなかった自分の穴を埋めたチームメートへの感謝の気持ちも大きい。先発への意欲は変わらないが、「任せられた場所でエースらしく、堂々と投げたい」と話し、チーム一丸の勝利を誓う。