
【北牟婁郡】三重県紀北町条例に反する盛り土問題を巡り、町は9日、事業者の東篤信町議(71)に発令した是正措置が、期限の3月28日までに履行されなかったと明らかにした。町議会全員協議会で報告された。
町によると、盛り土は同町上里の大河内川沿い2カ所で、計約6100平方メートルを造成。県と町による指導・勧告を経て、町は2月27日、町条例に基づき、東町議に対して新たな土砂搬入の禁止と原形復旧を命じた。
期限後、町環境管理課が不履行を確認したとして、垣内洋人課長は「是正計画を含めた書類の提出は一切なかった」と報告。尾上壽一町長は「事業者には引き続き残土の全量撤去と原状回復を強く求める」と述べた。
家崎仁行町議から今後の方針を問われ、尾上町長は「告発を前提に弁護士や警察らと連携を取っている」と説明。罰則の適用について「罰を与えるのが目的ではない。まずは原状回復と撤去を望む」と理解を求めた。
東町議は3月7日の町議会全員協議会で「条例に不備がある」と主張し、町を提訴する考えを示していた。町側は「条例に瑕疵(かし)はなかった」と正当性を主張。訴訟に発展した場合、裁判で全面的に争う姿勢を見せている。