
国が南海トラフ地震の新たな被害想定を示したことを受け、一見勝之三重県知事は31日、報道陣に「津波で亡くなる方を少しでも減らす」と述べ、県独自の想定を策定する考えを改めて示した。
県によると、国の新たな想定では県内の死者が最大で約2万9千人と、従来の想定に比べて1万4千人減少した。津波対策が進んでいることや、人口減などを踏まえた結果とみられる。
一方、沿岸部にある市町の多くでは、津波の予想到達時間が従来の想定よりも早まった。このうち高さ1メートルの津波が到達するまでの時間が55分だった明和町では、30分に早まった。
県は平成26年3月に作成した現行の想定を見直し、来年3月をめどに独自の被害想定として公表する方針。新たな想定では、災害関連死や車中泊避難者の人数などを新たに推計する。
一見知事は死者数の想定が減少したことについて「詳細な内容の確認はこれから」としつつ「主たる理由が人口減なら、地震の被害はそれほど低減できていないことになる」と指摘した。
その上で「県も被害想定をしっかり作り、対策を進める」と説明。県民には「日ごろの備えが大事。共助や公助も進めるが、まず自分の身を自分で守ることを考えてほしい」と呼びかけた。