都市鉱山をリサイクル 四日市・ウエスギ、4月新施設稼働 三重

【竣工式でテープカットに臨む(左から)石垣顧問、上杉社長、上杉勝治会長=四日市市天カ須賀新町で】

【四日市】産業廃棄物収集運搬業「ウエスギ」(三重県四日市市天カ須賀新町、上杉啓詞社長)は4月1日、本社敷地内に建設を進めてきた新施設「プレシャスメタルリサイクル棟」の全面運用を開始する。

【導入した設備の一部=四日市市天カ須賀新町で】

同社は都市鉱山と呼ばれる、廃棄される家電製品や電子機器に含まれる金やレアメタル(市場に流通する量が限られている非鉄金属)などの資源を取り出してリサイクルする事業に新規参入するため、昨年9月から事業の拠点となる施設建設と設備導入を進めてきた。

同施設は、廃電子基板から金などの希少金属を取り出すため、基板からの部品の取り出し、選別、破砕、貴金属の溶出まで一貫処理する。

導入したのは、①加熱水蒸気により廃電子基板から電子部品を剥離、回収する装置「ヒートセパレーター」②回収された電子部品をサイズ分別し、AI(人工知能)を用いた画像処理により部品種ごとに選別する装置「エーアイセレクター」③選別された電子部品のうちIC(集積回路)を燃焼破砕する装置「ヒートキルン」④破砕されたICから塩化鉄溶液により銅を溶出する装置⑤銅を溶出した残渣(ざんさ)溶液より王水を使って金を溶出する装置。いずれの装置もアステック入江(福岡県北九州市)が開発。使用済み電子基板のリサイクル促進とエネルギー起源二酸化炭素の排出抑制を図る。

同社は10年前から廃棄パソコンから部品を取り出し、リサイクルを実施。レアメタル研究の第一人者である東京大の岡部徹教授から助言を得て調査し、設備導入に至った。

一気通貫する設備導入は中部地区初。経済産業省の地域未来投資促進税制事業を活用。ヒートセパレーターとエーアイセレクターは環境省の補助事業、ヒートキルンと銅、金を溶出する装置は県の補助事業をそれぞれ活用したほか、新規事業参入と新施設稼働には県工業研究所と県産業支援センターの支援を受けた。

試運転を経て今月27日、竣工(しゅんこう)式が開かれ、野呂幸利副知事ら60人が出席した。上杉社長は「障害者雇用も促進し、地域貢献できるようにしていく」と決意を述べた。元副知事で同社顧問の石垣英一氏は「都市の中にある物からリユースして鉱物資源を引っ張り出すという、中小企業では初めての取り組みで、技術的にも画期的。ごみの中に価値を見出すということで意義も大きい」と話した。