自身の学び、軌跡を著書に 三重大医学部卒業の阪口さん、「好意追走」出版

【著書「好意追走」を紹介する阪口さん=津市本町の伊勢新聞社で】

【津】松阪市飯南町出身で、25日に三重大医学部を卒業した阪口銀河さん(24)が、自身の学びの軌跡をたどった著者「好意追走(こういついそう)」を執筆した。津市の会社「SHY(エスエイチワイ)」(林口典雄社長)でアルバイトをしたことがきっかけで、林口社長(52)に背中を押され出版が実現。著書を携え津市本町の伊勢新聞社を訪れ「目の前にいる小中学生に話をするように書いた。一つでも気付きがあるといい」と話した。

阪口さんは一昨年の6月、ベトナムからの実習生に日本語を教えるアルバイトとして週2回同社に通い始めた。林口社長と親交を深める中で母子家庭で育った自身の生い立ちや、医師を目指し進学先を定めて学びを重ねた経緯を話したところ「その経験を他の人にも伝えてはどうか」と勧められ、講義や病院実習の間を縫って書き進めた。

タイトルは「好きなこと、好きなものへの思いを追いかけて走る」意味の造語。著書では自身が小6から中3まで、試行錯誤しながら成績を上げ、志望する県立松阪高理数科に合格するまでの3年半を8章に分けまとめ「姿勢を変えれば誰かが手を差し伸べてくれる」「飛び越えられなさそうな壁も意外とやってみたら飛び越えられる」などと呼びかけている。

出版費用は全て同社が負担。林口社長は「彼と話す中で僕自身も気付きがあった。こんな若者がいることを世の中に伝えられるチャンスになると思った」と理由を話す。

阪口さんは医師国家試験に合格し、4月からは名古屋市内の総合病院で研修が始まる。「この時の経験が今の自分の芯になっている。最近『やりたいことがない』という人が多いが、ちょっとしたことでも追いかけてみると楽しいと分かってもらえたら」と話した。

【「好意追走」問い合わせ先QRコード】

非売品だが千部発行しており希望者は同社=電話059(226)3334または阪口さんのQRコード=に問い合わせる。