
国の文化審議会は21日、神楽酒造(三重県四日市市室山町)の酒蔵兼釜場と西酒蔵、大村神社本殿(伊賀市阿保)を登録有形文化財(建造物)とするよう、阿部俊子文部科学相に答申した。

県教委によると、神楽酒造の酒蔵兼釜場は江戸末期、西酒蔵は明治中期の建築。一部は現在でも酒造りに使われている。いずれも2階建てで、釜場にはレンガ造りの煙突を備えている。
酒蔵兼釜場の柱やはりなどは豪荘で、内部は迫力のある景観。はりには滑車を付けた痕跡があるといい、県教委は「機械化される以前の醸造業を知る上で貴重な建造物」としている。
大村神社は地元の阿保地区を開拓したとされる大村神を主祭神とし、平安時代の書物「延喜式」にも記述がある。天正15年に建築された宝殿は大正9年、重要文化財に指定された。
本殿は明治23年の建築。隣接する宝殿と調和させるため、当時としては珍しい檜皮葺(ひわだぶき)を採用した。県教委は「境内の歴史的景観に寄与し、近代の神社建築を知る上で貴重」としている。
これらを含め、文化審議会は全国で135件の建造物を登録有形文化財とするよう答申した。これにより、登録有形文化財の建造物は1万4567件、県内では324件となる。