旬告げる「みえ春ぶり宣言」 尾鷲で、魚市場活気づく

【春ぶり宣言を発出した協議会関係者ら=尾鷲市港町の三重外湾漁業協同組合尾鷲事務所で】

【尾鷲】三重県南部8市町や漁業関係6団体でつくる「熊野灘ぶり振興協議会」は21日、旬の到来を告げる「みえ春ぶり宣言」を出した。初日は尾鷲市九鬼町の九鬼漁港でブリ約2500本が水揚げされるなど、各地の魚市場が活気づいた。

【漁師らの手で水揚げされたブリ=尾鷲市の尾鷲港で】

協議会によると、熊野灘沿岸では1―5月、産卵期に入るブリの群れが回遊する。春先は最も脂が乗り、定置網漁の最盛期という。県産ブリを全国に発信しようと、春に取れるブリを「みえ春ぶり」と称し、昨年3月7日に初めて宣言した。

3月1日以降、複数の漁場で同じ日に千本以上が水揚げされるか、ブリの脂肪量が平均14%以上と測定された場合に発出する。今月14日に脂肪量の条件を満たし、20日には紀北町の島勝浦漁港など3カ所で水揚げ千匹以上の基準にも達した。

21日、尾鷲市港町の三重外湾漁業協同組合尾鷲事務所で、岩本芳和会長が「脂が乗ったおいしそうな春ブリの水揚げが始まった」と宣言。加藤千速市長は「春ブリは中身で勝負できる。全国展開し、おいしさをPRしたい」と強調した。

ブリは日本海側で冬に揚がる「寒ブリ」のイメージが強く、高知県室戸市など太平洋側は「春ブリ」として売り出す動きが活発化している。漁協関係者は「脂乗りは寒ブリに負けていない。名前が定着し、商品価値が上がれば」と期待する。