伊勢新聞

住宅、商業地で2年連続上昇 三重県内の公示地価 物価高など背景

【住宅地の価格が12年連続で県内トップの津市大谷町】

国土交通省は18日、令和7年の公示地価を発表した。三重県内の平均変動率は住宅地と商業地で2年連続の上昇。工業地は3年連続で上昇した。経済活動の活発化や物価高などを背景に上昇が続く一方、調査に当たった不動産鑑定士は「住宅ローン金利の上昇などから、住宅の取得に慎重な動きも出ている」と話す。

■住宅地
平均変動率は0・5%で、2年連続のプラス。上昇の幅も前年(0・2%)を上回った。都道府県別では一つ上げて25位。前年は143地点だった上昇地点は160地点に増えた。

調査対象となった25市町のうち、前年と同数の10市町で変動率が上昇した。24年連続で下落していた玉城町が横ばいとなるなど、南部でも緩やかに需要が回復している。

1平方メートル当たりの平均価格は前年比400円増の3万8900円。最高価格は津市大谷町で、3・4%(4千円)増の12万3千円。ブランド性の高さなどから、12年連続で1位となっている。

一方、上昇率の順位としては、津市南が丘3丁目が4年ぶりの1位に。高台にある閑静な住宅地で人気が高く、最寄り駅に急行が停車するようになったこともあって需要を押し上げている。

■商業地
平均変動率は0・5%で、上昇の幅は前年から0・3ポイント拡大した。全国順位は2つ下げて28位。前年は55地点だった上昇地点は65地点に増加。下落は5地点減の28地点だった。

調査対象となった20市町のうち、前年と同じ8市町で平均変動率が上昇した。32年連続で下落していた松阪市は横ばいに。27年連続で下落していた明和町も横ばいとなった。

平均価格は千円増の7万200円。最高価格は四日市市諏訪栄町で、6・2%(2万7千円)増の46万3千円。マンションなどの需要が依然として高く、39年連続でトップとなっている。

■工業地
平均変動率は1・9%で、上昇の幅は前年から0・3ポイント拡大。全国順位は29位で、前年から3つ下げた。調査対象24地点のうち、前年より1地点多い23地点で上昇した。

調査対象となった7市町全てで変動率が上昇した。全市町で上昇するのは2年連続。四日市ジャンクション周辺などの北部を中心に上昇しているほか、中南勢でも内陸部は上昇傾向にある。

平均価格は500円増の2万3200円。最高価格は四日市市午起2丁目で2・3%(900円)増の3万9800円。国道23号へのアクセスの良さなどから、24年連続で1位となった。

県内で調査の代表幹事を務めた片岡浩司不動産鑑定士は「コロナ禍からの回復を強く印象づけた昨年に続き、今年も北中部を中心に地価上昇のトレンドが続いている」と話す。

一方で「昨年の下半期以降は、住宅地などで上昇幅が縮まったケースも散見される。住宅ローン金利の上昇や物価高騰が懸念材料」と指摘。「先行きは見通しにくい」としている。

地価公示は国交省が定める標準地の地価(1月1日時点)を公示する制度。土地取引や固定資産税算定の目安となる。県内では31人の不動産鑑定士が25市町の432地点を調べた。