
【尾鷲】高齢者の苦労を知ってもらおうと、三重県尾鷲市賀田町の市立輪内中学校で17日、高齢者体験教室があった。1年生7人が視野を狭めるゴーグルなどを装着し、心身の不自由を体感した。
同校によると、多様な人々との関わり方を学ぶ福祉学習の一環。市社会福祉協議会の吉澤幸利さんが講師を務め、社協の活動を説明した後、高齢者らは五感や四肢が鈍くなることを紹介した。
生徒らは交代で高齢者と介助者を体験。重り付きのベストを着用し、ゴーグルとイヤホンで視覚や聴覚を奪い、約100メートルを歩いた。階段では「ゆっくり」などと声をかけながら慎重に昇降した。
吉澤さんは「福祉とは普段の暮らしの幸せ」とし、心身の健康を維持する重要性を強調。ゴミ出し支援を例に挙げ、生徒らに「困っている高齢者を地域で助け合うことが大事」と呼びかけた。
初めて体験したという大川天凜さん(13)は「つらい体勢で声も耳も悪くなり、普段の道のりが遠く感じた。高齢者の不自由が理解できたので、今後はもっと優しく接してあげたい」と話した。