伊勢新聞

2025年3月15日(土)

▼関税とウクライナのことばかりが報道されるが、トランプ政権のメインターゲットはDEI。DEIのDは多様性、Eは公平性、Iは包摂性。要するに人種や性的少数者を理解し平等を実現すること。これを止めるというのだ

▼DEI導入組織では、女性、非白人、障害者、LGBTQなどを積極的に採用しなければならない。しかし、これは主流派の白人に対する逆差別だとトランプは受け入れない。選挙戦では、対抗馬のカマラ・ハリスを「DEI候補」とバカにした。能力ゼロなのに、女性、黒人というだけで選ばれたというのだ。意外なことに反DEIの声は根強く、トランプは勝利。大統領になると即座に反DEIを実施した。なにしろ、性別は「男と女」しか認めないというのだ

▼反DEIを受けて、ウォルマートなどの主要企業は次々とDEIから撤退。イーロン・マスク率いる政府効率化省は、多様性を推進していた部署や職員をことごとく廃止、解雇した。反DEIは非白人である日本人にも及ぶ。留学生や駐在員はいまや肩身の狭い思いをしている。トランプのアメリカは昨日とはまったく違うアメリカだ。