将棋と喫茶、憩いの場に 南伊勢町に移住の富田さん 空き部屋を活用 三重

【将棋・喫茶スペース「南風」で将棋を楽しむ愛好家ら=南伊勢町五ケ所浦で】

【度会郡】三重県南伊勢町五ケ所浦で、たい焼き屋とお食事処「マルショウ」を営む富田翔子さん(40)が、2店舗の隣にあった空き部屋を活用し、将棋と喫茶が楽しめるスペース「南風」を昨年12月にオープンした。富田さんが笑顔で切り盛りする3店舗には連日、高齢者や親子連れなど地元住民らが訪れ、地域の憩いの場となっている。

名古屋市出身の富田さんは、観光で何度か同町を訪れているうちに、山と海の景色やのどかな雰囲気に魅力を感じ、「いつか住みたい」と思うようになり、令和4年に同町に移住した。

「商売をして自分がどれだけできるか挑戦したい」と、同年10月にたい焼き屋をオープン。町産の小麦や真珠塩、砂糖控えめの自家製あんこを使って一枚一枚、丁寧に焼き上げている。昨年7月には、町産の干物やマダイなどが食べられるお食事処をたい焼き屋の隣にオープンした。

【たい焼き屋やお食事処、将棋・喫茶スペースを切り盛りする富田さん=南伊勢町五ケ所浦で】

その頃、近所の将棋愛好家の高齢者らがマルショウでたい焼きを購入し、仲間の自宅に集まって将棋を楽しんでいたが、家主が亡くなり、憩いの場がなくなってしまったことを知った富田さんは、お食事処隣の空き部屋を改装し、誰でも気軽に利用できる将棋・喫茶スペースにした。

現在は町内だけでなく、志摩市からも愛好家らが南風を訪れ、亡くなった将棋仲間の家族が形見分けとして無償譲渡した将棋盤などを使い、将棋を指しながら交流を深めているという。同町切原の竹舎英昭さん(83)も「ほとんど毎日、将棋友達が集まり、楽しく遊ばせてもらっている」と話す。

富田さんは「移住した時は受け入れてもらえるか不安だったが、地域の人が店の改装を手伝ってくれたり机や食器などを持ち寄ってくれたりして感謝している」とにっこり。「これからも南伊勢町の良さを発信しながら、みんなのふれあいの場になるように頑張りたい」と話した。

南風は、ワンオーダーで利用料無料。子どもらも遊べるようにオセロやトランプなども用意した。定休日は3店舗ともに月曜日と第2、4火曜日。営業時間はたい焼き屋と南風が午前9時半―午後5時。お食事処は昼午前11時―午後2時、夜午後6時半―同10時。