▼外部委員らの調査委員会が一見勝之知事の言動を「パワハラには該当しない」とする一方、知事と職員のコミュニケーションに「改善の余地がある」と報告したことについて、一見知事は「パワハラに該当しないとの報告書を受領したが、内容を真摯に受け止め、今後も職員とのコミュニケーションを丁寧に図りながら県民のために職務を遂行する」
▼申し分ないコメントだ。特に後半がいい。謙虚さがにじみ出ている。ホラ見ろ、パワハラなんかじゃない、最初に言った通りだ、なんて、どこやらの知事なら言いそうなことは言わなかった。そう思って一夜、寝て起きたら少し風向きが変わっていた
▼「私がどんな人間なのかを職員に分かってもらえるよう、これからも努力する」と謙虚さは維持したが、「パワハラでないことが明らかになったことは良かったと思っている」「県は知事に関する通報でもしっかり対応することが明らかになった」。やや、鼻が上を向いた気がする
▼調査委員会の報告書は、パワハラでないと無条件にお墨付きを与えているわけではない。「厚労省や県が定義する」という前置きを付けている。「社会通念上不相当な言動とは言えない」とも。曖昧さは残しているのだ
▼通報に県がしっかり対応したかも異論はあろう。委員長は、県の代理人としてよく登場する弁護士で、顧問弁護士も務めたし、県の各種委員会の常連メンバーだった。今回の結果で職員が相談を気楽に持ち込むようになることはあるまい。その後の知事らの言動をじっと見つめている。