伊勢新聞

山林を楽しめる空間に 尾鷲の観光農園 木製デッキ資金をCF

【ウッドデッキからヒノキ林を望む岡社長=尾鷲市向井の山林で】

【尾鷲】先祖代々のヒノキの森に秘密基地を作りたい―。三重県尾鷲市向井の観光農園「おわせむかい農園」を運営する尾鷲ヤードサービスが、傾斜地にウッドデッキなどを設ける資金をクラウドファンディング(CF)で募っている。目標金額は300万円で3月末まで。

かつて休耕地だった農園は、発電所業務から転換を果たした同社が「鉄から土へ」を掲げ、令和3年7月に開園した。ブルーベリーや市特産の唐辛子「虎の尾」を栽培するほか、尾鷲湾を望むキャンプ場「ミノレ」を併設し、全国から多くの観光客が訪れるという。

コロナ禍収束後、岡文彦社長は住民らの居場所づくりの一環として、飲食イベントなどを定期的に開催。出身地でもある向井地区の活性化に奔走してきた。次第ににぎわいを取り戻す中、発電所時代の関係者から、農園周辺の山林を事業で活用する話が舞い込んだ。

同社は山林購入に後ろ向きだったが、調べてみると岡社長の先祖が代々引き継いだ森と判明。事業拡大の次なる一手と確信し、買い取りを決断したという。岡社長は「運命的な出合い。先祖からのエールと捉え、この地で新たな事業を展開しようと考えた」と話す。

ヒノキ林が広がる約800平方メートルの山林は、裾野に小川が流れ、山の神を祭る小堂も建つ。林道に隣接する斜面に幅8メートルほどの尾鷲ヒノキ製のウッドデッキ、巨大ハンモックを設置する。デッキは小川につながる「空中回廊」を目指し、最終的に多層構造化する方針。

すでに一枚目のデッキは完成し、県内外の農園支援者を招いた宿泊体験も実施した。支援者からは「ぜいたく」「唯一無二」などと好評で、早くも手応えを実感。CF公開初日の1日、わずか30分で50万円を集めるなど、支援の輪は全国に広がりを見せている。

デッキは1日1組限定で、山森一帯を丸ごと貸し出す。5月中にも宿泊者を受け入れる予定。読書や散歩、バーベキューなどでの利用を想定している。岡社長は「奇跡的に戻ってきた山林。多くの人が非日常を楽しめる空間をみんなで作っていきたい」と意気込む。

寄付はCFサイト「CAMPFIRE」で受け付ける。目標金額の達成後も新たな目標を設定する。寄付額に応じて、農園のブルーベリー(500グラム)やキャンプ場宿泊券などの返礼品を用意している。4月以降に発送予定。詳細は添付のQRコードから確認できる。

【CFサイトのQRコード】