三重県議会2月定例月会議は3日、松浦慶子(自民党、1期、多気郡選出)、世古明(新政みえ、1期、伊勢市・鳥羽市)、田中祐治(自民党、3期、松阪市)、芳野正英(新政みえ、2期、四日市市)の4議員が一般質問した。難波正樹県警本部長は、昨年中に発生した自転車乗用中の事故による死傷者のうち、高校生のヘルメット着用率が7%にとどまっていると報告。福永和伸教育長はヘルメット着用を校則に明記するよう、県立学校長に呼びかけていると説明した。世古議員への答弁。
自主防災に女性参画を
松浦 慶子議員(自民党)
避難所運営に女性のニーズを反映させるため、自主防災組織などへの女性参画を促すよう要請。防災対策部は、女性が積極的に参画する団体が取り組みを発表する場を設ける考えを示した。
【産後ケア】
松浦議員 産後ケア事業はアウトリーチ型だけだったり、宿泊型だけだったりと、市町間で差がある。希望するサービスが利用できるよう、充実させるべき。子ども・子育て支援法の改正を受けた取り組みは。
枡屋子ども・福祉部長 法改正で国、県、市町の役割が明確化された。県は来年度から、市町を広域的に支援する役割を担う。どの地域にいても希望するサービスを利用できるよう、施設の確保やマニュアルの作成、研修などを検討したい。
【避難所運営】
松浦議員 避難所の運営に女性特有のニーズを反映させることは、男性だけで検討していると不十分になる。自主防災組織も多くは男性。避難所運営の女性参画を促進させる必要がある。どう取り組むか。
楠田防災対策部長 女性向けの物資配布や授乳室の確保など、具体的な事項を記したチェックシートを作り、避難所運営マニュアル策定指針に盛り込む。女性が積極的に参加する団体が交流する場を設けるなどし、女性参画の促進を図る。
離島の架橋を建設要請
世古 明議員(新政みえ)
住民の命を守る観点から、離島の架橋を建設するよう要請。一見勝之知事は「予算があれば直ちに着工できる」「他の公共事業を止めなければならない」などど、財源面の課題を強調した。
【着用率】
世古議員 道交法の改正によって令和5年4月から自転車のヘルメット着用が義務化されたが、県内の着用率は高くない。全国平均は上回るも、いまだに約7割が着用していない。着用率を向上させる取り組みは。
難波県警本部長 自転車乗用中の死傷者の約4割は子ども。高校生の着用率は7%と、中学生の65・9%と比べて低い。高校生を「セーフティ・バイシクルリーダー」に委嘱したり、学習端末に交通ルールを発信したりしている。
【離島架橋】
世古議員 離島の架橋は命を守る観点からも必要。架橋があれば、離島から医療機関への搬送時間が大幅に短縮される。離島のある市や自治会からは「県の意識は高くないのでは」との声も上がる。県の考えは。
知事 予算が山ほどあれば直ちに着工できる。費用の面で考えると、他の公共事業を止めなければならない。選択と集中は身を切るほどつらい。議員の意見も聞きながら決める必要がある。100年後を見通して考える必要がある。
下水道の点検、今後は
田中 祐治議員(自民党)
埼玉県八潮市で発生した道路陥事故を受けた下水道への対応を尋ねた。県土整備部は自主的に実施した検査で下水管路に異常がないことを確認したと説明。点検の頻度を高める考えも示した。
【下水管路】
田中議員 八潮市の道路陥没で破損した下水管が完成したのは42年前。標準耐用年数の50年に達していなかった。下水管の破損は広範囲に影響し、県民生活に支障が生じる。緊急点検の結果や今後の対応は。
佐竹県土整備部理事 北部浄化センターにつながる約5キロと南部浄化センターにつながる約2キロを独自に点検したが、異常は認められなかった。日ごろの点検による早期発見が重要。管路の経年劣化などを踏まえ、点検の頻度を高める。
【同行避難】
田中議員 近年では災害時にペットとの避難ができず、避難を諦める事例も生じている。ペットとの同行避難は心の安定にもつながるが、どこが受け入れるのかが分からない。体制の構築と住民への周知を。
松浦医療保健部長 飼い主には平常時からの備えを啓発し、市町には受け入れ体制を整える重要性を呼びかけてきた。来年度は市町向けの研修会で先進事例の横展開を図るほか、県獣医師会などと連携して防災訓練も実施する。
県立高普通科の改革は
芳野 正英議員(新政みえ)
県立高が設ける普通科の改革に向けた取り組みについて尋ねた。福永教育長は来年度から、2つの県立高で普通科を「探究科」に改編し、探究学習の時間を大幅に増やすと説明した。
【情報収集】
芳野議員 災害対応にICT(情報通信技術)の活用が求められる。県は令和3年度から、SNS(交流サイト)に投稿された災害情報をリアルタイムで収集する「スペクティ」を活用しているが、活用の状況は。
楠田防災対策部長 県庁のオペレーションルームでスペクティの通知があった場合は速やかに把握し、必要に応じて市町へ共有している。例えば大雨による道路冠水などの情報がある。今後も情報を得て迅速な対応につなげたい。
【学科再編】
芳野議員 実業高校では企業と連携した新商品の開発などを見聞きするが、普通科の高校では改革が難しい。県教委は4月から、川越高と上野高の普通科を探究科に改編するが、その意義と授業の内容は。
福永教育長 川越高と上野高は来年度入学生から探究科を設ける。探究学習に関する科目の時間を大幅に増やし、専門性も高める。両校に続いて普通科の改編を検討している学校はないが、今後も各校の特色化や魅力化を進める。