増地「人一倍の努力で」 海星2メートル右腕が東北福祉大へ 県内高校球児進路

【東北福祉大への進学が決まった増地咲乃介(海星)=1月】

海星高校(三重県四日市市)3年の200センチ右腕・増地咲乃介が今春、仙台六大学野球連盟の東北福祉大(宮城県)に進学する。春夏通算13度の甲子園出場を誇る同校で鍛錬し、昨年7月、自身最初で最後の夏の三重県大会に「エース」として出場。準々決勝で三重高校(松阪市)に敗れ、1998年以来の夏の甲子園出場を逃したが、上から投げ下ろすダイナミックな投球は注目を集めた。本格的な体づくりはこれからで、プロ野球や社会人野球で活躍する人材も多く輩出する強豪野球部でさらなる成長を誓う。

鈴鹿市出身。軟式野球の「清和チャイルダー」で小5から野球を始め、硬式野球の「鈴鹿ヤング」に所属した創徳中時代に投手に転向した。中学入学当時身長は既に185センチ。急成長する体に追いつかずケガにも悩まされ、ひじの神経障害で手術を受けたことも。高校入学後も故障による離脱が続いた。

高2の冬、「最高のコンディションを3年の夏に持って行こう」と一念発起。地道な走り込みに加えて、家族の協力も受けて食生活から見直して、けがに負けない身体作りに励んだ。

3年の春以降、県内外の強豪校が相手の練習試合で好成績を残せるようになり、高校最後の夏の県大会に背番号「1」でベンチ入り。先発、中継ぎ、抑えとフル回転し、シード校の昴学園を下した2回戦は、1点差に迫られた8回2死一塁から救援登板し、無失点で切り抜けて野球ファンに鮮烈な印象を残した。

当初就職を考えていたが、周囲のすすめもあり、大学進学を決めた。甲子園ボーイも多く在籍する東北の名門に、実績のない自分が進むことへの不安もあったが、高校の指導者から「一回は厳しいところに行ってみろ、人生経験が大事や」と励まされ、覚悟を決めた。

大学では登板機会を求めて、最速138キロ(公式)にとどまる球速アップを目指す。「先輩の話も聞きながら身体づくりから始めて150キロくらいは目指したい。可能性を生かすのも潰すのも自分次第。人一倍努力して、まずは大学4年間をやり切りたい」。