【志摩】災害時のトイレ不足に備え、三重県の志摩市が導入したトイレトラックがこのほど、お披露目された。導入を機に、一般社団法人「助けあいジャパン」(静岡県)の「災害派遣トイレネットワークプロジェクト」に県内で初めて参加。災害時には、トイレを備えた車両を持つプロジェクト参加自治体が協力し、相互に派遣する。
能登半島地震でも問題になった被災地のトイレ不足を解消するとともに、衛生環境の維持や被災者の健康を確保するために導入した。平時はイベントや防災啓発活動に活用する。購入費は2655万円。
導入に向けて、昨年9―10月にふるさと納税型クラウドファンディング(CF)を実施。目標金額を800万円に設定したところ、113の企業や団体、個人が支援し、目標金額を大きく上回る1255万円が集まった。
トイレトラックは長さ約6・9メートル、幅約2・2メートル、高さ約3・2メートル。簡易水洗で洋式の個室トイレ5室のうち1室は、オストメイト対応で電動車いすリフターやおむつ交換台などを備えた多機能トイレとなっている。水洗用の清水タンクは760リットル、汚物タンクは1000リットルの容量があり、約950―1300回使用できる。発電用のソーラーパネルなども備えている。
多くの人に市の自然や風景を知ってもらおうと、車体の運転席側に国府白浜海岸、助手席側は英虞湾をデザインした。
市役所であったお披露目会に先立ち、CFで多額の寄付を行った10事業所の代表者に感謝状を贈呈。「助けあいジャパン」の石川淳哉共同代表理事と橋爪政吉市長が、プロジェクト参画に伴う協定を締結した。プロジェクトには1月末現在、全国27自治体が参加しており、志摩市は28番目となる。
橋爪市長は「さまざまな場面で活用し、有事の際は我々も被災地に出向いて全国の防災・減災対策に寄与したい」、石川共同代表理事は「今後もより多くの自治体に参画してもらいたい」と話した。