
社会人野球を統括する日本野球連盟(JABA)主催のコーチング講習会が22日、鈴鹿市内で開かれた。三重県内各年代の野球チームの指導者が、東京ガスの元監督でサッカーJリーグのFC東京社長も務めた阿久根謙司氏(63)からコーチングの基本を学んだ。
コーチングは目標達成に向け、自らの力で答えにたどり着くように導く指導手法。スポーツ指導現場での暴力や暴言、ハラスメントなどを改善し、野球人口の減少に歯止めをかけようと企画した。
埼玉県出身の阿久根氏は現役時代は外野手として活躍。早稲田実業高時代甲子園に2度出場した後、早大、東京ガスでプレーし、東京ガスではコーチ、監督を歴任した。
引退後は野球の指導者時代に培ったコーチングでビジネスの世界でも手腕を発揮。2011年にJ2降格直後のFC東京の社長に就任した時は、対話を通じて選手のやる気や自立を引き出し、1年でのJ1復帰につなげた。
講習会には、JABA三重県野球連盟などで構成する、三重県野球協議会の加盟団体から約130人が参加。亀山市立亀山中学校の生徒を対象としたコーチングの実技では、参加者が見守る中、阿久根氏が適切な質問で生徒らの自発的な気づきを促した。
聞き手と話し手に分かれて取り組んだコーチングセッションの模擬体験もあり、聞き手を務める参加者には「大事なのは傾聴、共感。相手の考えを否定せずに、まずは最後まで聞くこと」とアドバイスしていた。