伊勢新聞

2025年2月21日(金)

▼岸和田市長選を巡り、政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏の動きが注目されている。一部メディアが、自身への投票を求めず、失職した前市長の当選を目的とした「二馬力選挙」で挑む意向だとも報じている

▼3月の千葉県知事選で出馬を予定したが、本人に「迷惑だ」と表明されて岸和田市長選に方向転換したともいう。いやはや、奇妙な時代になったものだ。成功を収めたとされる兵庫県知事選で、応援した斎藤元彦知事が当選し、陣営から功績を評価されて、本人もすっかり自信をつけて新たな存在感を意識したのかもしれない

▼兵庫県知事を巡っては、追及していた県議が逆にバッシングを受けて自殺するという衝撃の経緯をたどった。再選した知事も公選法違反容疑で捜査対象になったり、県議会の百条委員会がパワハラなどを「ほぼ事実」の結論でまとめるなどの情報が報じられ、最近では日本維新の会所属の県議が立花氏に情報を流していたことが明らかになっている。出直し選挙後も何が真実か、一向に真相が藪の中なのは、同県民にとって不幸なことである

▼混乱の一因に、東京都知事選でのポスター掲示板ジャックや「二馬力選挙」など、法の抜け穴をつくような新たな行動がおおっぴらにまかり通り、対策にあぐねる状態が引き起こされているからだろう。一見勝之知事ら全国の知事有志が国に禁止を求めたのは当然として、効果はいかに

▼民主主義の根幹に関わる危機である。信頼を維持するために、公職者全員が取り組んでいく責任がある。