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三重県庁は人事の季節を迎えた。今年度は服部浩副知事(65)が4年の任期を終えるほか、部長級では清水英彦危機管理統括監、小見山幸弘政策企画部長ら8人が60歳の役職定年を迎える予定。今年は9月に一見勝之知事の改選期を迎える選挙イヤー。そこで、県政の安定的運営などに向け、予算や人事を司る服部副知事のいったんの留任説が浮上している。一見知事の1期目最終年度の人事はいかに―。来年度県庁人事を展望する。(年齢は3月末現在)
部長級でほかに役職定年を迎えるのは山本秀典東京事務所長▽中野敦子農林水産部長▽佐竹元宏県土整備部理事▽佐脇優子出納局長▽高野吉雄議会事務局長▽山本健次四日市港管理組合経営企画部長。
服部氏の副知事留任は、昨秋に一見知事から要請があったとされる。留任の場合、選挙年ということで、表向きは県政の安定や継続性の維持がお題目に上がるが、庁内外では自身の選挙を見据え、足場固めを強固にするため経験豊富な服部氏を据え置くのでは、との見方だ。
焦点は服部氏が受諾するかどうか。現職人事では、定年後の再就職先の空き状況が要となるため、良識派の職員なら留任や延長などで「ポストの居座り」と見られることを嫌う。
ただ、「『ポスト服部』と目される後田和也総務部長が59歳とまだ若い。服部さんなら後々のことを考えて、当面我慢するのでは」(庁内)との声も出る。もっとも副知事任期は4年あるが、知事の改選後に辞職するとの見方だ。服部氏が留任しなければ、後田氏の就任も予想される。
清水危機管理統括監の後には後田氏の名が上がる。前政権時代から同職を経て副知事就任というのが正式ルート。後田氏が次期副知事と目されるのなら、いったん同ポストを踏むのは定石だ。一方、選挙イヤーのため重要人事を据え置き、清水氏の役職定年延長の見方も出る。
後田氏が動くとなれば、後任は財政畑出身の松浦元哉医療保健部長(58)か。庁内では総務部の権限を強化させ、人事・管理系出身の部長が就任。一方で、財政部門でミスが連発し、財政畑の復権が望まれている。そのため財政系の同部副部長を務めた松浦氏が適役との声。
小見山政策企画部長の後任は長崎禎和地域連携・交通部長(58)の横滑り就任が有力。長崎氏は政策企画部副部長経験者で政策畑出身。
ほかに〝重量級〟ポストへの部長級からの横滑り異動として、中野農水部長の後に同部副部長経験のある佐波斉地連部南部地域振興局長(58)が見込まれる。同じく重量級の高野議会事務局長の後任は竹内康雄環境生活部長(59)や、松下功一雇用経済部長(58)か。生川哲也観光部長(57)の異動説も出る。
次長級からの昇格組として、技術系の佐竹県土整備部理事の後任は同じく技術系の上村告同部副部長(58)の昇任が有力視される。
副部長を2年務めた田中誠徳環境生活部副部長(57)、野口慎次県土整備部副部長(57)、山本毅総務部副部長(56)も昇格適齢期か。
田中氏は環境生活部長での起用か。人事畑の野口氏は地連部長や四港経営企画部長か。スポーツ局課長の経験もあり、前出納局副局長の藤本典夫スポーツ推進局長(59)が出納局長に横滑り異動し、野口氏が後任に就くとの予想もある。山本氏は松浦氏の後の医療保健部長か。
ほかに山添達也農水副部長(57)、天野敏政策企画副部長(56)、高濵公生子ども・福祉部副部長(56)、中村元保地連部副部長(56)らの名が上がる。副部長以外として、和田吉史総務部次長兼秘書課長(55)、世古勝政策企画部次長(55)の抜擢を推測する向きもある。
女性の登用では、中野農水部長と佐脇出納局長の2氏が退任予定。「ジェンダーギャップ解消などを掲げる知事が、女性部長の登用を増やすことがあっても減らすことはないのでは」(元幹部)との見方を踏まえると、2枠は確定か。
その場合、福島賴子観光部副部長(57)や天野圭子人事委員会事務局長(56)が有力か。福島氏は南部地域振興局長や東京事務所長で名が上がる。ほかに関美幸スポーツ推進局次長(57)、藤井理江関西事務所長(56)の名も。
部長級人事とは別に、伊藤隆代表監査委員(68)が退任予定。歴代部長級の元幹部職員が就任しており、後任に安井晃元政策企画部長(62)の名前が上がっている。