津市贈収賄、発注偏り以前に指摘 組合が改善要求も 市上下水道庁舎を家宅捜索

【押収した資料を車両に積み込む捜査員ら=津市殿村で】

【津】三重県の津市発注の水道修繕工事を巡る贈収賄事件で、市が発注業者の偏りを調査する約9カ月前に、市が偏りについての指摘を受けていたことが13日、関係者への取材で分かった。

市などによると、贈賄容疑で再逮捕された新居利英容疑者(50)が代表を務める水道工事会社「新英工業」に市発注の水道修繕工事が偏っているとして、市内の水道業者でつくる組合が令和5年9月、市の担当者に改善を求めたという。

市の担当者は当時、市上下水道事業局水道工務課の技能長だった中村一男容疑者(56)と松岡泰成容疑者(51)=共に収賄容疑で再逮捕=らに偏りを是正するよう指示した。

その後、偏りは一時的に改善したものの、継続しなかったとみられ、市は昨年6月、同社への発注が偏っていることを指摘する記事がインターネット上に掲載されたことで調査を開始した。

事件を巡っては、中村、松岡両容疑者は令和4年7月ごろ―昨年4月ごろ、市内の水道修繕工事を同社に委託した見返りとして、新居容疑者から計20万円相当の物品を受け取った疑いがある。2人は緊急性の高い工事で業者を選ぶことができる立場だったとみられる。

また、県警は13日、同市殿村の市上下水道庁舎を家宅捜索。午前9時半ごろに捜査員が立ち入り、約2時間後に段ボール13箱分の資料約60点を運び出した。