2025年2月12日(水)

▼津市河芸町北黒田地区で伝統の「世だめし粥占い」があり、早生、中生、晩生の目印を付けた長さ10センチほどの竹筒を粥に入れてそれぞれの竹筒に入った飯粒の量を数えて今期の稲作を占った。今年は収穫時期の早い「早生」の収量が多いという結果が出た

▼温暖化の中で朗報か。昨夏は暑かった。JA中央会幹部の話によると、コメの品質は落ちて小粒、変色、ひび割れなどで最高級にランクされるコシヒカリはかつての5割強を切って3割台という。6割以上だったコメどころの新潟でさえ五割すれすれ。コメどころは年々北上し、今や北海道が日本一の産地になりつつあるという

▼加えて、昨年は雨量も少なかった。「動物も植物も、適度な暑さとともに、十分な水は不可欠」と幹部は言うのである。西日本はむろん、東海も秋の収穫を待っていては巨大台風、集中豪雨到来など不確定要素が強い。危険な夏を短期間で済ます早生が多いことは歓迎すべきことかもしれない

▼昨年の収量は「やや良」で、それほど悪くはなかったという。各農家のJAへの委託販売が減ってきている中で、コメ不足はJA関係者にとっても理解し難いことらしい。どこかに滞留しているのは確実だとして、小規模の仲買業者がコメ不足の報に危機感を抱き、買いあさっているからではないかという推測だ

▼価格高騰は、秋の収穫期までは続くだろうが、エネルギー代が上がり、肥料代が上がり、運送、人件費が上がり―。コメや野菜の値段は上がっていても農家経営は一向に楽にならないということだ。