2024年2月9日(日)

▼バレンタインデー(14日)に職場でチョコレート、あるいはプレゼントなどを交換する習慣は衰退しつつあるようだ。日本生命保険の調査によると、バレンタインデーに合わせて「職場の人」に「プレゼントを渡す」と答えた人は前年を1・6ポイント下回り、過去最低の12・5%だった

▼戦後の日本は地域社会が崩壊し、会社社会が取って代わったといわれる。運動会や旅行などのレジャーも会社を軸に催され、社員の家族へと広がりを見せたが、経済構造の変化とともに非正規雇用者などが複雑・多様に入り込み、一体感を作り出すことは希薄になっていった

▼ホームパーティーの習慣のない日本で、会社を中心に義理チョコなどバレンタインデーのプレゼント交換は、それなりに個人の絆を強める役割を担っていたが、会社社会の変化とともに、会社の中で咲き誇った文化も変容を遂げていくということだろう

▼別の調査では、バレンタインにチョコレートを渡そうとしている人は93・5%と高い水準を維持しているという。相手は「恋人・パートナー(配偶者)」が62・1%で最も多く、親しい友人や家族などと続き、ここでも職場の人は姿を見せない。コロナ禍に伴う在宅勤務など働き方の変化が一因というのがニッセイ基礎研究所の分析だが、中元・歳暮などの虚礼廃止とともに、贈り物に対する考え方そのものが変化してきているのかもしれない

▼娘が小学校低学年のころ、手作りチョコをプレゼントして突っ返されたことがあった。これはこれで、いい習慣だという気はした。