伊勢新聞

桑名市の新年度予算案 一般会計662・3億円 3・6%増、過去最大 三重

【「女性のウェルビーイング推進宣言」を行った伊藤市長=桑名市役所で】

【桑名】三重県の桑名市は3日、多度地区小中一貫校整備、桑名駅周辺整備、人口減少対策などに重点配分した新年度当初予算案を発表した。19日開会の市議会定例会に上程する。

一般会計は前年度比3・6%増の662億2977万1000円となり、過去最大規模。3年連続で過去最高を更新し、2年連続で600億円超えとなった。

市は、建設の最終年度となった小中一貫校整備、桑名駅西のバスロータリー整備、スマートインターチェンジや桑名北部東員線、大山田播磨線の道路予算設計、人口減少対策などにより投資的経費が前年に続いて高水準となったこと、児童手当拡充や賞与改定・給与改定など社会保障関係経費が増額となったことが過去最大となった要因としている。

歳入では、前年度に減収要因となった定額減税が終了し、個人市民税が増収となったほか、法人市民税と固定資産税は概ね堅調に推移し、歳入全体の35・0%を占める市税は同比5・4%増の232億円を計上。過去最大となった。

歳出では、みんなで支え合うまちづくりを進めるため、①「誰一人取り残さない社会」の実現②「時代の変化に対応した行政」への改革③「安定した財政基盤の確立」④人口減少対策パッケージの推進⑤重点プロジェクトの推進―に関連する予算に重点配分。3年目となる人口減少対策では、全25事業、総額13億6492万8千円を計上した。

記者会見した伊藤徳宇市長は「本市に暮らす全ての人がウェルビーイングを実感できる共生社会を作り上げることを目指す」と強調。さらに3日付で「女性のウェルビーイング推進宣言」を行い「桑名市は『誰一人取り残さない社会』の実現を目指し、全ての女性が心と身体を大切にし、自分らしく輝き、幸せを実感できるまちづくりに取り組むことを宣言する。ジェンダーギャップの話とは全く違って、例えば『子どもの時からダイエットしていて良いのか』という問題など、主に健康に関すること。オール桑名で向き合っていきたい」と語り、当初予算案を「安心と夢のある未来を拓く成長予算」と命名した。

桑名市の主な事業は次の通り。

◆多文化共生推進事業費(1479・3万円)
外国人支援コンシェルジュサービス、多言語電話通訳サービス業務委託、外国人住民との交流の場づくり、災害時外国人サポート事業開催。

◆グローバル人材育成事業費(1100万円)
海外留学支援奨学金(補助金)。市独自の奨学金制度で支援していくことで、世界を視野に未来を創造できるグローバル人材を育成し、市の国際化を推進。

◆国際化戦略推進事業費(464・6万円)
市と海外の未来を担う学生がお互いに意見交換するオンライン国際交流イベント。桑名をPRするための現地プロモーション活動。市の魅力を発信し、訪日外国人を呼び込むためのモニターツアーの調査研究。インバウンド戦略検討などの助言を得るアドバイザーの採用。

◆子どもの夢・未来創造事業費(492・5万円)
市の全ての子どもたちを対象に小中学校や学童、ふれあい教室など子どもが通う場での体験機会の拡充。保健師体験、議会体験、模擬選挙体験、歴史講座、起業家、金融のプロ。

◆女性のウェルビーイング推進事業費(79・6万円)
企業や専門家、学生など様々な立場が参画するラボ「こころ・カラダ ラボ」を設置し、女性特有の心と身体の変化に対する不調や悩みに寄り添う施策を実施。

◆依存症対策事業費(100万円)
依存症全般が対象。未然防止対策の実施。相談体制の整備。重症化予防支援。

◆就学前教育・保育施設整備事業費(6億258・1万円)
既存保育園の建て替え。老朽化している保育所と子育て支援センターの建て替えを補助。

◆子ども・子育て支援施設整備事業費(6574・5万円)
既存保育園に病後児保育施設を創設。

◆病児保育支援システム導入事業費(386・1万円)
市内病児保育施設2施設で病児保育支援システム導入。

◆選べる桑名子育てリフレッシュ事業費(7027・6万円)
市と民間事業者協力のもと、子育て世帯が選ぶことのできるリフレッシュメニューを0歳児、1歳児、2歳児の保護者に提供。「家事補助」や「子どもと楽しむ」プランを拡充。

◆企業誘致推進事業費(4547・4万円)
国内企業・外資系企業誘致活動。立地奨励金・定住促進奨励金などの活用を図りながら、特に半導体や次世代エネルギー関連分野などの成長分野をターゲットに、重点的な誘致活動。

◆カスタマーハラスメント防止対策事業費(377・5万円)
桑名市カスタマーハラスメント対策委員会の設置。カスタマーハラスメント相談窓口の設置。カスタマーハラスメント対策の周知・啓発。より適切な対応が取れるように、被害者に対する弁護士相談や訴訟に係る費用などを補助(1件上限10万円、年間予算120万円)。

◆スマートインターチェンジ等整備事業費(2億1900万円)
スマートインターチェンジ道路詳細設計。桑名北部東員線道路詳細設計。桑名北部東員線橋梁詳細設計。大山田播磨線道路詳細設計。

◆土地区画整理事業補助金(1億5000万円)
都市計画道路桑名北部東員線を施工地区に含む組合施行の土地区画整理事業に対して補助金を交付し、道路整備促進と工業系企業誘致の促進を図る。

◆土地区画整備事業費(19億8511・6万円)
蛎塚益生線の整備を行い、桑名駅西口へのアクセス向上を図る。

◆消防庁舎等再編整備事業費(1804万円)
消防本部の高台移転を含む消防庁舎再編整備実施。供用開始に向けた準備経費計上。

◆防災拠点施設機能拡充事業費(1億3800万円)
新たな倉庫を建築。停電時にも一部の機能を維持するため、太陽光パネルや蓄電池設置。

◆教育ICT環境整備事業費(3億8354・4万円)
令和元年度に整備した機器などを含むICT環境と令和2年度に整備した生徒児童一人1台端末の更新。

◆小中学校再編計画策定事業費(1171・2万円)
小中学校の小規模化と学校施設などの老朽化が進行する中、子どもたちにより良い教育環境を提供する。桑名市立小中学校再編計画策定における市民との合意形成、パブリックコメントの実施、素案と完成版の作成。

◆多度地区小中一貫校建設事業費(56億2132・8万円)
桑名市初となる施設一体型小中一貫校である義務教育学校「多度学園」整備。新校舎が令和8年1月に竣工予定。