▼生活保護受給者のうち、障害者らが車を利用できるケースを拡大することを厚生労働省が決めて昨年12月25日に自治体に通知した
▼受けた鈴鹿市が“アチャー”と言ったかどうか。運転記録を市の定める通りに提出しないからと言って支給を止めて訴訟になり、敗訴して「上級省庁、代理人弁護士と協議し」て上告したのが11月で、わずか一カ月前。せめてその時におわせてくれたら、とは思ったのではないか
▼昔、近畿自動車道伊勢線が旧嬉野町を通過する計画が持ち上がった時、ほ場整備直前だったので農業団体はルートの説明を求めたが、旧建設省は決まっていないの一点張り。ほ場整備の完成直後にルートを発表。ものの見事に田んぼを分断していた。怒った農家は買収交渉を拒否。請願インターを造ることで合意した
▼国益なくて省益あり。まして地元の迷惑などというのが省庁だろう。「協議したわれわれがバカだった」という思いをかみしめているかどうか。末松則子市長は昨年通知を受けた時、上告について「改正内容を踏まえて検討していく」と語った。29日の会見では、運転記録の提出を求めるという市独自の制度について「国の方針が変わったことで求める必要がなくなった」
▼が、上告については「市の代理人弁護士らと再度検討して判断する」。「上級官庁」は消えたが「取り下げの可能性はゼロではない」。はしごを外され手足をバタつかせて落ちていく滑稽漫画を連想したのは県内第2の市の顔である市長に対し失礼だった。恐縮に堪えない。